共同生活援助(障がい者グループホーム)の特徴と指定基準について
共同生活援助(障がい者グループホーム)の特徴と指定基準について
共同生活援助とは?
地域の中にある共同生活住居での生活を望む障害のある方に対し、
主として夜間に、入浴、排泄、食事の支援や相談、日常生活上の必要な援助等を提供 します。
生活施設ですので、利用者は事業所で生活を行います。
日中は就労継続支援B型事業所や生活介護施設に通うケースが一般的です。
また、短期入所と併設(併設型や空床利用型)しているケースもあります。
入所型の体系
類 型
グループホームには、介護サービス包括型と外部サービス利用型の2種類があります。
介護サービス包括型
グループホーム内の介護サービスは、事業所内で行うタイプのサービスです。
報酬単価は、外部サービス利用型よりも高額となります。
(福岡市・大阪府福祉部ホームページから転載)
日中サービス支援型(平成30年度新設)
重度障がい者の受入れということで、通常の共同生活援助がどちかかというと「夜間帯」の支援でしたが、日中活動支援型は「日中帯(加算で夜間支援)」を行うタイプのグループホームです。
グループホームの特性(ユニットの定員等)は維持しつつ、スケールメリットを生かすため、1つの建物への入居を20人までとしています。なお、緊急一時的な宿泊の場を提供する「短期入所」の併設が必置となります。
障害支援区分3以上の利用者(区分1,2も日中活動支援型は利用可能)であれば、グループホームにおいて日中支援を行う日は「 日中サービス支援型共同生活援助サービス費」 を算定し、日中活動サービスを利用する日は「 日中を当該共同生活住居以外で過ごす場合」 の報酬単位を算定することになります。
外部サービス利用型
グループホーム内の介護サービスは、外部の居宅介護事業所が行うタイプのサービスです。
報酬単価は、介護サービス包括型よりも安価となります。
(福岡市・大阪府福祉部ホームページから転載)
移行支援住居
令和6年(2024年)度報酬改定で、移行支援住居が追加されました。
単身等での生活を本人が希望し可能と見込まれる利用者が、共同生活援助から退所に向け、移行支援住居(1以上の移行支援住居を有し、その定員は2人以上7人以下であること)での一人暮らし等に向けた支援を行った場合に、基本報酬や自立生活支援加算Ⅲなどを算定します。
タイプ別の比率は?
厚生労働省 共同生活援助に係る報酬・基準について≪論点等≫から引用
※ 円グラフのとおり、介護サービス包括型が圧倒的に多い。
指定(開業)の要件
介護サービス包括型が圧倒的に多いことから、当ホームページでも、原則「介護サービス包括型・日中支援型」の説明を行います。
1 法人格があること
2 事業所の物件、間取りが適法であること
3 人的要件を満たしていること
4 その他
対象者
- 身体障がい者(65歳未満の者又は65歳に達する日の前日までに障がい福祉サービス若しくはこれに準ずるものを利用したことがある者に限る)
- 知的障がい者
- 精神障がい者
- 難病患者
共同生活援助の設備基準
・住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ、入所施設又は病院の敷地外にあること
・指定事業所は、1以上の共同生活住居を有すること
・一戸建て、マンション(ワンルームも可)などで、自己所有・賃貸とも可能です。
・一戸建ては用途変更なしでも200㎡未満で可能(要確認)
・住宅街は建築協定の要確認
・建築基準法についても要確認
参考 既存戸建て住宅を障がい者グループホームとして活用する場合の取扱いについて(大阪府)
設 備 | 要 件 | 備品等 |
居 室 | 一つの居室が、7.43㎡以上(収納スペースを除く)
和室であれば4.5畳以上(和室であっても7.43㎡以上を求める府下自治体もあり) |
原則、窓が必要 |
食 堂 | 居間と食堂を一つの場所とすることは可能です。 | |
居 間 | ||
浴室等 | ||
洗面所・トイレ | トイレ手洗いと洗面所の兼用は不可 | アルコール消毒液、ペーパータオル |
※居室数 法令上は1住居10部屋まで、大阪は独自基準により1住居7部屋まで。
※同一建物で申請を行う場合、14名まで指定可能な指定権者もある。
共同生活援助の人員配置基準(介護サービス包括型・日中支援型の場合)
職種 | 配置数 | 常勤要件 | 備考 |
管理者 | 1名以上 | あり | 常勤 |
サービス管理責任者 | 1名以上 | なし | 管理者と兼務でなければ生活支援員、世話人と兼務可
30 :1 人 |
生活支援員 | 1名以上 | なし
日中活動支援型は生活支援員、世話人のうち一人は常勤の必要性あり |
食事や入浴、排せつ等の介護を行います。外部サービス利用型の場合は不要。
常勤換算で、次の①から④までに掲げる数の合計以上 ① 障害支援区分3に該当する利用者の数を9で除した数 |
世話人 | 1名以上 | なし
日中活動支援型は生活支援員、世話人のうち一人は常勤の必要性あり |
個別支援計画に基づき、食事の提供や生活上の相談等、日常生活を適切に援助します。
6:1(包括型の基本単位) 5:1(日中支援型) 令和6年度報酬改定で「4:1」、「5:1」は廃止 |
夜間従事者 | 1名以上 | なし | 共同生活住居ごとに一人以上配置(日中支援型のみ) |
管 理 者
管理者とは、職員の管理、利用者の申込みに係る調整、事業所の職員に対し遵守させるため必要な指揮命令を行うことが主な仕事であり、簡単に説明すると、事業所を統括することが管理者の仕事ということになります。
資格要件はありません。
サービス管理責任者
サービス管理責任者(通称「サビ管」)とは、障がい福祉サービスの提供に係るサービス管理を行う者を言います。
具体的には、利用者のアセスメントの実施、個別支援計画の策定・評価、サービス提供のプロセス全体を管理します。
「事業所を統括する管理者」と「利用者とサービス提供を管理するサービス管理責任者」と区分けすると分かり
指定基準上の人員配置の考え方(包括型、外部支援型)
起床から就寝までの人員配置(日中を除く)(基本報酬)
- 1日の活動終了時刻から翌朝の開始時刻までを基本とする時間帯を設定し、夜間時間帯以外のサービス提供に必要な人員を配置することが必要です。
夜間配置については加算で算定
共同生活援助の運営・経営形態
運営形態 |
①1事業所の利用定員は4人以上。(日中活動支援型は20人以内、短期入所1人以上必要) |
②30分圏内であれば、複数の住居をまとめて一事業所として運営可能 |
③各共同生活住居の利用定員は2人以上、原則10人以下。
(※居室数 法令上は1住居10部屋まで、大阪府下は独自基準により概ね1住居7部屋まで。) |
共同生活援助の基本報酬算定の考え方について
共同生活援助の算定基準と人員配置体制加算
令和6年(2024年)度報酬改定で、「世話人」の配置基準に応じた基本報酬区分を改め、世話人の配置基準のうち「4:1」、「5:1」を廃止し、「6:1」のみとし、基準配置に加え、より手厚い人員配置を評価した 人員配置体制加算が新たに追加されることになりました。
人員配置体制加算は、配置するべき「世話人」および「生活支援員」に加え、特定従業者換算方法で、利用者の数を「12:1」か「30:1」で除して得た数以上の世話人また生活支援員が配置されていることが条件になります。
※特定従業者換算方法(従業者の勤務延べ時間数を除すべき時間数を40時間として、従業者の員数に換算する方法となります。
設定した常勤の時間が40時間を下回るほど、人員配置は多くなります。
基本報酬の算定基準
令和6年(2024年)度報酬改定の共同生活援助サービスの算定基準は下表のとおりです
区分 | 令和6年4月以降~ | |
共同生活援助サービス費(Ⅰ)
世話人の配置6:1 |
区分6 | 600単位/日 |
区分5 | 456単位/日 | |
区分4 | 372単位/日 | |
区分3 | 297単位/日 | |
区分2 | 188単位/日 | |
区分1 | 171単位/日 | |
共同生活援助サービス費(Ⅱ)
体験利用 |
区分6 | 717単位/日 |
区分5 | 569単位/日 | |
区分4 | 481単位/日 | |
区分3 | 410単位/日 | |
区分2 | 290単位/日 | |
区分1 | 273単位/日 |
昨年度までの4:1、 5:1、 6:1の区分を改めて、世話人の配置は「6:1」のみとなります。
人員配置体制加算の算定構造
人員基準 | 人員基準 | 単位 |
人員配置体制加算Ⅰ | 基準上の人員に加え、特定従業者数換算方法で 12:1 以上の世話人・生活支援を配置 | 区分4以上 83単位 |
区分3以下 77単位 | ||
人員配置体制加算Ⅱ | 基準上の人員に加え、特定従業者数換算方法で 30:1 以上の世話人・生活支援を配置 | 区分4以上 33単位 |
区分3以下 31単位 |
共同生活援助(グループホーム)の加算
(1)届出が必要な加算(日中支援型を除く)
加 算 | 内 容 |
夜間支援等体制加算 | 障がい福祉事業の共同生活援助(グループホーム)での常勤換算該当時間外における夜間支援従事者の配置(夜勤または宿直)または連絡体制等を構築することで加算 |
重度障害者支援加算 | 重度障害者支援加算は重度障がい者について研修修了者による手厚い支援を行った場合に算定される加算 |
福祉専門職員配置加算 | 良質な人材を確保するために資格等を持った福祉専門職員を配置等した場合に加算 |
看護職員配置加算 | 人員配置基準とは別に看護職員を常勤換算1以上配置した場合に加算 |
医療的ケア対応加算 | 人員配置基準とは別に看護職員を常勤換算1以上配置し、医療的ケアが必要な者に対して支援を行った場合に加算 |
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 | 視覚・聴覚・言語機能に障がいを有する利用者が一定数以上で専門職員を配置した場合に加算 |
医療連携体制加算(Ⅶ) | 看護師を1名以上配置する等、日常的な健康管理、医療ニーズが必要な場合に適切な対応がとれる体制を整備している場合に加算 |
強度行動障害者体験利用加算 | |
福祉・介護職員処遇改善加算(特定含む) | 福祉介護職員に対してキャリパス等の要件を満たすことで加算 |
※特に代表的なものを記載しています。
(2)届出が不要な加算(日中支援型を除く)
加 算 | 内 容 |
日中支援加算 | 人員配置基準とは別に日中支援員を配置し日中時の支援を行った場合に加算 |
入院時支援特別加算 | 利用者が入院した際に、一定の支援を行った場合に加算 |
長期入院支援加算 | 利用者が長期間入院した際に、一定の支援を行った場合に加算 |
帰宅時支援加算 | 利用者が帰省した場合に伴う家族等との連携調整や交通手段確保等の支援を行った場合に加算 |
長期帰宅時支援加算 | 利用者が長期帰省した場合に伴う家族等との連携調整や交通手段確保等の支援を行った場合に加算 |
自立生活支援加算 | 単身などの生活が可能と見込まれる利用者に対して退去の支援を行った場合に加算 |
医療連携体制(Ⅶを除く) | 医療機関等と連携することで看護職員が事業所を訪問するなどし利用者に対して看護や介護職員に対して喀痰吸引の指導を行った場合に加算 |
※特に代表的なものを記載しています。
共同生活援助(グループホーム)の減算
減 算 | 内 容 |
サービス提供職員欠如減算、サービス管理責任者欠如減算 | サービス管理責任者、世話人、生活支援員が人員基準を満たすことができない場合に減算 |
個別支援計画未作成減算 | 個別支援計画の作成が行われていない場合に減算 |
大規模住居等減算 | 規模が一定を超える場合に減算 |
共同生活援助(グループホーム)の指定要件や押さえるべきポイントについて
グループホームは簡単に運営できるのか? (はじめてグループホームを運営される方は必ずお読みください) |
開業前に押さえるべき4つのポイント |
グループホームの一日の流れ |
サービス管理者とは? |
事業所の物件選び |
障がい福祉の設備基準とは? |
グループホームの人員配置基準とは? |
共同生活援助(グループホーム)の指定後の経営・運営について
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