障がい福祉事業を開業する際の物件の選び方は?

障がい福祉事業を開業する際の物件の選び方は?

日中系の障がい福祉事業所(放課後等デイサービス就労継続支援AB型生活介護など)を開業するに当たって、事業所の物件選びが非常に重要です。

なぜ重要かと言うと、

  • 物件選びを誤ると指定が取れなくなること
  • 予想以上の出費を強いられること
  • 最悪利用者が来ない事業所になること

などが考えられます。

他のサービスも同じことが言えますが、物件に対する一目惚れはお勧めしません。

賃貸借契約を結ぶ前に必ず確認する事項がありますので、以下のポイントごとに説明します。

 

立 地

市街化調整区域

大前提として、原則市街化調整区域では、障がい福祉事業はできません。

大阪市内には、市街化調整区域はありませんが、大阪府内には存在しますので、注意が必要です。

ビル(マンション)の一室か、戸建てか

大阪市や京都市などの中心部では、ビルのテナントで開業するのが一般的ですし、ビルの1階部分(路面店)での営業が多い傾向にあります。

逆に、郊外では戸建てが多い傾向にあります。

公園など

近くに公園があれば、利用者を余暇活動に連れていき活動を行いやすいといえます。

駅からの距離

都市部では従業員の通勤の立地も考慮にいれましょう。

 

消防法

指定申請時に、必ず、消防の防火対象物使用開始届(行政によっては、消防済書)を提出する必要があります。

これは、消防の要求する設備が設置されているかを、管轄消防署員が現地確認を行った後にしかでません。

物件によっては、この設備要件のレベルが高い(設置費用が高価)な場合があります。

ですが、消防法は非常に複雑であり、消防署への事前相談は必須です。

  • ビルの場合、消防法の規程で3階以上は、消防設備の新規増設を求めらる場合があるので、2階以下が無難。
  • 他に福祉事業所(特定防火対象物)が入っている場合、複合用途防火対象物(消防法施工令別表第一のうち16項)になり、その合算面積が300㎡かつその合計が延べ床面積の10%以上になると、消防法の規定(16項イ)で消防設備の新規増設を求められるケースがあります。

     ⇒ 小さなビルは、この要件(10%以上)に当てはまりやすいので注意が必要です。

ビル全体の延べ床面積が300㎡以上の場合に注意すること

(特に物販やコンビニ、飲食店など不特定多数が入る建物は注意)

 

次に

  • 戸建ての場合は、ビルよりも消防法上の規制が緩くなりますが、最低限誘導灯の設置が求められるケースが散見されます。
  • その他にも、消防法上の規制は「定員」「窓の厚さ」や「隣地との距離」などで消防設備が大きく変わります。

 

消防署への届出などは、行政書士が行うことができませんが、当センターでは、消防設備士の所属する消防設備会社と連携し、消防と協議を進めております。

〇地階、3階以上で直通階段が1以下の物件を賃貸する場合

⇒ 避難器具設置 必要自動火災報知機などの設置が必要

防火管理者の選任に注意 

建物の収容人数により防火管理者の選任義務があります。

※ 東京消防庁資料

近隣への住民説明

近隣住民説明を行う必要があります。

特に住宅街で行う場合は、きっちりと行う方が無難です。

社会の偏見などもありますので、法人代表者や管理者が、先頭に立って、説明を行って下さい。

 

車が駐車できるスペースがあること

障がい福祉事業所は、送迎を行うことが非常に多いので、送迎車を駐車できるスペースが重要です。

送迎を行わないのであれば、利用者(保護者)の車を止めるスペースや駅近の物件が無難です。

また、従業員の通勤のことも考えた立地を選んでください。

 

面積基準

放課後等デイサービスなどの児童サービス

訓練指導室として、児童一人当たり2.47㎡が必要(場所によっては3㎡のエリアもあり)。

他にも事務室、訓練指導室等が必要になるので、定員10名として最低でも45㎡は欲しいところです。

 

就労系や生活介護などのサービス

大阪市では概ね3.3㎡、府下の多くでは支障のない面積(市役所で要件が異なるので要確認)となります。

定員等で妥当な面積が異なりますので、検討して下さい。

※大阪市の採光換気については、こちらを確認して下さい。

 

建築基準

ビルや戸建てどちらにするにしても、使用面積が200㎡未満の物件にしなければ、建築基準法上の用途変更の手続きが必要になります。手続きに併せて工事を行う場合もあり、数か月単位の期間とお金を費やすことになります。

また、最低でも建築基準法の求める「建築確認申請を受けていること」「検査済証の交付を受けていること」のうち、最低でも「建築確認申請を受けていること」が必要です。

両方が無ければ、建築士による証明が必要となり、別途お金を費やすことになります。

 

賃貸関連

家 賃

家賃、駐車場代については、事業計画を立てて、問題のない範囲とすることが重要です。

オーナーさんへの確認事項

消防設備を増設できるかどうかオーナーに確認することが重要です。

退去時に現状回復を求められると、金銭上の負担となります。(特に一戸建て家屋)

消防法に適合した消防設備を設置する際に、今回借りる部屋だけでなく、建物全体に消防設備が新規設置する必要がある(自動火災報知機の設置など)場合、借主貸主のどちらが設置代を負担するかの交渉となります。

また、建物の消防点検を行っていない物件の場合も、上記のケースと同じく、判断をどうするかが問題となります。

間取り

訓練指導室、事務室、相談室などを配置できる間取りが取れることが重要です。

また、あまり死角のない物件を選ぶ方が事故を防ぐという点では良い。

 

京都市

京都市内での障がい福祉事業の指定では、昭和56年6月1日以降に新築工事に着手した物件で、バリアフリー条例に適合している必要があります。

 

まとめ

事業所の物件選定は、慎重に選ぶ必要があります。

最悪、許可(指定)が下りない物件や消防設備に大きなお金が掛かる場合があります。

WPP行政書士事務所へのご依頼については、物件の調査立会も行っております

 

当センターにご依頼した際のサービス内容や価格等につきましてのご質問は、お電話またはメールフォームでお問合せ下さい。

〇 ご依頼希望の方につきましては、料金表をご覧ください。

 

申し訳ありませんが、障がい福祉事業の内容等についての無料相談は行っておりません。

 

〇 書類点検サービス(模擬実地指導)を希望の方はこちらをご覧ください。

〇 従業員研修希望の方はこちらをご覧ください。

 

それ以外の方は、事業所の指定権者である都道府県庁や市町村役場の担当窓口へのご相談をお願い致します。

 

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