障がい福祉事業所の防犯3つのポイント

障がい福祉事業所の防犯3つのポイント

平成28年7月に発生した、神奈川県相模原市の障がい者支援施設における殺傷事件を受けて、障がい福祉施設では、防犯意識の高まりが見られますが、防犯体制は、どうなっているでしょうか?

相談はお受けするものの、障がい福祉施設全体を見ると、まだまだ防犯体制への認識は低いと思われます。

 

障がい福祉施設で重要なもの

障がい福祉事業所で最も重要なものは、当然ながら、利用者・従業員の命、安全の確保です。

その次はなんでしょうか?

障がい福祉事業は、個人情報の塊です。利用者のアセスメント、個別支援計画など、外部に流出すると大問題となるものが多く存在します。

筆者は、元警察官ですので、表面的な防犯チェックではなく、具体的な障がい福祉施設の防犯施策について、解説を行っていきたいと思います。

1 侵入者を防ぐ

侵入者は、「泥棒」が代表的です。

ですが、平成28年7月に発生した、神奈川県相模原市の障がい者支援施設における殺傷事件に代表されるような侵入者も考えられますので、「命をどう守っていくか」は非常に重要な問題です。

内鍵の設置

特に児童や重度の障がい福祉施設では、必ず、内鍵(二つ目の鍵)を設置することで、外部からの侵入者を防ぎましょう。

同時に、利用者が無断で外に出てしまうことを防ぐ効果もあります。(放課後等デイサービスなどでは必須です)

ここで重要なことは運用面です。従業員が「鍵を開け締めすることが面倒」という理由で、鍵を設置しているにも関わらず、施錠を行わないケースが散見されますので、必ず施錠する習慣付けをしていきましょう。

防犯カメラの設置

外部や死角部分に防犯カメラを設置することは、抑止力に繋がります。

退職者から鍵を回収する

意外に実行していない事業者が多い部分です。

退職者の犯行は、意外に多いといえますので、しっかり回収することが重要です。ただ、鍵を交換することが最も効果的です。これは経費が掛かるので、暗号型の電子キーに変更することもお勧めです。これならば、暗号を変更する作業だけで済むからです。

窓ガラス

防犯ガラスに変更することが一番効果的ですが、値段が高いのが弱点です。

そこで、防犯フィルムを窓ガラスに張ることで、窓ガラスを割られることを遅らせる効果があります。

(就労継続支援A型や就労継続支援B型は、2階以上に事業所があるケースが多いですが、上層階だからと油断は禁物です。)

 

2 内部犯行を防ぐ

事業所で、お金や貴重品が盗まれるケースで、意外に多いのが従業員等による内部型の窃盗事案です。また、虐待案件もこの部分になります。

窃盗関連

まずは、窃盗関連ですが、

①出勤時に大金を持ってこないこと

②ロッカーに荷物を置く際は、必ず施錠すること

が重要です。

もし、盗まれる等の被害に遭えば、管理者は被害届を出す等の毅然とした態度を取るべきです。「被害届すら出さない」と犯人に思われると第2、第3の犯行が行われる可能性が高くなる傾向にあります。

虐待関連

施設での虐待が多くの都道府県で問題になっています。

虐待を防ぐには、従業員の研修やストレス解消が重要となってきます。

特に従業員には、虐待の多くが犯罪という認識を持たせましょう。

事業所内に防犯カメラを設置することも効果はありますが、設置場所や運用には細心の注意が必要です。

 

3 事業所外部での犯罪を防ぐ

外出時で最も多いのは交通事故ではないでしょうか?なんだ、交通事故かと言うなかれです。

特に人身事故となれば、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷罪)

  • 7年以下の懲役または禁錮
  •  100万円以下の罰金

で通常の刑事事件と同じく事件が検察庁に送致されます。

送迎時

送迎時で注意するの交通事故です。

例え自損事故であっても利用者に怪我があれば、その刑責は運転手が負うことになります。

また、従業員による送迎中の当逃げも良く耳にします。(道路交通法違反(事故不申告))

運転は得て不得手がありますので、違反歴・事故歴などを採用時に確認し、管理者等が実際に従業員の運転技術も確認して下さい。

 

余暇時

生活介護、放課後等デイサービスなどでは、余暇がつきものですが、初めて行く場所については、その時間帯での場所と経路の下見をして、危険がないか確認することが重要です。

余暇を楽しんでいる場合に、注意して欲しいのが、従業員が利用者を制止したり、たしなめている場合などに通行人が虐待と勘違いして警察に通報するケースがありますので、従業員研修をしっかり行うことが大切です。

 

大切なことは従業員の研修

上記で幾つかな例を挙げて説明していますが、研修を行うことで従業員の防犯意識や交通事故について学んでもらうことが重要です。ハードは整ったけれどソフト面は・・・ではいけません。

研修したことは実践で訓練ことで活かされます。

緊急時の通報訓練(警察、救急)を行い、万が一に備え、安全の確保の礎としましょう。

また、マニュアルの整備、見やすい位置に通報先を掲示することも大切です。

 

防犯体制の構築

防犯体制の構築は、どうすればよいか分からないという相談を良く受けます。

日中系施設と共同生活援助(グループホーム)などの生活系施設(夜間体制)の違いもあります。

当事務所では、運営の改善を行いながら防犯もプラスαしたいという事業所さんには、顧問契約をお勧めしております。

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