就労継続支援A型の特徴と指定基準について
就労継続支援A型の特徴と指定基準について
就労継続支援A型とは?
一般企業などに就労することが困難な障がいのある65歳未満の利用者に対して、雇用契約を締結して、生産活動の機会の提供、知識および能力の向上のために必要な訓練などを行います。求人(利用者)はハローワーク経由が一般的です。
一般就労に必要な知識や能力が高まった方は、最終的には就労移行支援や一般就労を目指します。
事業所で利用者が行う仕事を用意する必要があります。
「自社の仕事を行ってもらう」や「別会社から仕事をもらう」ことが必要になります。
指定時に売上を客観的に示した、「事業計画書」の提出が必要な行政もあります。
また、雇用契約を締結しますので、利用者に対して、最低賃金を守る必要と労働法などの適用が求められます。
日中支援系サービスの体系
就労継続支援A型の事業所数推移
就労継続支援A型は平成27年2995事業所数でしたが、令和4年には4323事業所と1.4倍に増加しています。特に令和3年、令和4年の伸び率が高くなっています。
厚生労働省 就労継続支援A型に係る報酬・基準について≪論点等≫から引用
ですが、令和6年(2024年)度報酬改定で後述のように就労による売上が少なければスコア方式により厳しく評価されるために、経営が難しくなることが予想され、廃業する事業所が増加すると考えられます。
就労継続支援A型のメリット
- 既存の事業を行っている場合は、利用者に仕事をしてもらうことで、人件費のダウンサイジングが可能であり、利用者も継続的な仕事を見込めるので離職率が低くなる。
- 利用者が比較的集まりやすい。
- 雇用関連の助成金(特定求職者雇用開発助成金)を使うことも可能。
- 最低定員は10名。(B型よりも面積の比較的小さい物件で始めることが可能)
- B型に比べ利用者を集めやすい。
就労継続支援B型との違い
雇用の有無 | 賃金 | 最低定員 | 定款の目的 | |
就労継続支援A型 | 雇用(労働法規の適用) | 最低賃金保証 | 10名 | 専ら社会福祉事業であることが必要 |
就労継続支援B型 | 非雇用 | 工賃(法令上は月額3000円以上) | 20名 | 上記制約はなし |
就労継続支援A型の仕事内容
重要なことは、就労継続支援A型は利用者の賃料について原則A型の事業収入から充当する必要があります。
国保連からの収入を利用者の賃金に充当することはできません。
ですから収益率の高い仕事内容を選ぶ必要があります。
よくあるA型の仕事内容
- 食品など製造業の加工
- 縫製
- リサイクル
- 清掃
- 農業
- 組み立て
- ホテル清掃 など
指定時の要件
1 法人格があること
2 事業所の物件、間取りが適法であること
3 人的要件を満たしていること(【人員配置基準】就労継続支援A型を始めるには「どんな人が必要?」)
4 その他
就労継続支援A型の人員配置基準
職種 | 配置数 | 常勤要件 | 備考 |
管理者 | 1名以上 | なし | |
サービス管理責任者 | 1名以上 | あり | 60:1 |
生活支援員 | 1名以上 | どちらかが常勤 | 10:1
OR 7.5:1 資格要件なし |
職業指導員 | 1名以上 |
※上記では、管理者とサビ管の兼務が可能ですので、最低定員であれば、3名で事業の開始が可能です。
就労継続支援A型の設備基準
要 件 | ||
訓練作業室 | サービス提供に支障のない広さを備えること。
大阪市は利用者一人当たりの面積が約3.0㎡。3.3㎡の指定権者もあり。 |
|
相談室 | プライバシーに配慮できる空間にすること | |
多目的室 | 相談室と兼務も可能 | |
洗面所・トイレ | トイレ手洗いと洗面所の兼用は不可 | |
事務室 | 鍵付き書庫 |
指定申請について
就労継続支援A型(通称、就A、A型)は、
- 収支予算書
- 事業所で行う予定の事業の作業量積算根拠
- 事業所の事業が請負である場合は、請負契約書のひな型
- 開設計画書
などの書類が事前協議の際に別途必要です。
新規指定では、就労継続支援A型の事業内容で判断されます(内職がメインでは難しい)ので、平成30年以降の就労継続支援A型新規申請のハードルを参考にして下さい。
就労継続支援A型の算定構造
令和3年度改正により「1日の平均労働時間方式」から総合評価をもって実績とする「スコア方式」が導入されましたが、令和6年(2024年)度報酬改定で、これまでの労働時間、生産活動、多様な働き方、支援力向上、地域連携活動に加え、「経営改善計画」、「利用者の知識・能力向上」が追加され、合計200点のスコアとなりました。
評 価 | 評価内容 | 判定スコア |
①労働時間 | 1日の平均労働時間により評価 | 5点~90点で評価 |
②生産活動 | 過去3年の生産活動収支により評価 | -20点~60点で評価 |
③多様な働き方 | 利用者が多様な働き方を実現できる制度の整備状況(就業規則等)により評価 | 0点~15点で評価 |
④支援力向上 | 職員の支援力向上の取組実績により評価 | 0点~15点で評価 |
⑤地域連携活動 | 地元企業と連携した高付加価値商品開発、施設外就労による働く場の確保などの連携した取組実績により評価 | 0点~10点で評価 |
⑥利用者の知識・能力向上 | 前年度において、就労継続支援A型事業所等が利用者の知識及び能力の向上に向けた支援を行い、当該支援の具体的な内容を記載した報告書を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表している。 | 0~10点で評価 |
経営改善計画は、指定権者から経営改善計画の提出を求められ、指定された期日までに提出されていない場合に-50点となります。
就労継続支援A型「7.5:1」の場合の算定構造は下表のとおりです(「10:1」と定員61人以上は割愛させています)。
7.5:1 | 定員20人以下 | スコア170点以上 | ( 791単位) |
スコア150点以上170点未満 | ( 733単位) | ||
スコア130点以上150点未満 | ( 701単位) | ||
スコア105点以上150点未満 | ( 666単位) | ||
スコア80点以上105点未満 | ( 533単位) | ||
スコア60点以上80点未満 | ( 419単位) | ||
スコア60点未満 | ( 325単位) | ||
定員21人以上40人以下 | スコア170点以上 | ( 710単位) | |
スコア150点以上170点未満 | ( 656単位) | ||
スコア130点以上150点未満 | ( 626単位) | ||
スコア105点以上150点未満 | ( 594単位) | ||
スコア80点以上105点未満 | ( 474単位) | ||
スコア60点以上80点未満 | ( 373単位) | ||
スコア60点未満 | (288単位) |
施設外就労について
就労継続支援A型の加算
(1)届出が必要な加算
加 算 | 内 容 |
送迎加算 | 利用者を自宅等に自動車で送迎した場合に加算 |
福祉専門職員配置加算 | 良質な人材を確保するために資格等を持った福祉専門職員を配置等した場合に加算 |
賃金向上達成指導員等加配加算 | 賃金向上達成指導員を常勤換算1.0以上で配置し、賃金向上計画を作成し、キャリアアップの仕組みを講じた場合に加算 |
就労移行支援体制加算 | 就労継続支援A型を利用後、6か月以上、利用者が一般就労を継続した場合に加算 |
食事提供加算 | 調理などをした食事を利用者に提供した場合に加算 |
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 | 視覚・聴覚・言語機能に障がいを有する利用者が一定数以上で専門職員を配置した場合に加算 |
重度者支援体制加算 | 障害基礎年金を受給する利用者が一定数以上、前年度の利用を行った場合に加算 |
福祉・介護職員処遇改善加算) | 福祉介護職員に対してキャリパス等の要件を満たすことで加算 |
2)届出が不要な加算
加 算 | 内 容 |
初期加算 | 新規利用者が利用開始日から起算し30日以内に利用した場合に加算 |
欠席時対応加算 | 利用予定がある日に急病等でキャンセルがあった場合に利用を予定していた日の前々日、前日、当日にキャンセルの連絡があった場合に加算 |
訪問支援特別加算 | 従業員が利用者宅を訪問し相談援助を行った場合、月2回まで加算 |
利用者負担上限月額管理加算 | 報酬請求時に上限管理事務を行う利用者負担上限管理事業所に対して加算 |
体験利用加算 | |
医療連携体制加算 | 医療機関等と連携することで看護職員が事業所を訪問するなどし利用者に対して看護や介護職員に対して喀痰吸引の指導を行った場合に加算 |
※代表的なものを記載しています。
就労継続支援A型の減算
減 算 | 内 容 |
サービス提供職員欠如減算、サービス管理責任者欠如減算 | サービス管理責任者、世話人、生活支援員が人員基準を満たすことができない場合に減算 |
個別支援計画未作成減算 | 個別支援計画の作成が行われていない場合に減算 |
定員超過減算 | 定員を一定割合で超過した場合減算 |
就労継続支援B型の会計基準
就労系サービスは厚生労働省が定めた就労会計に沿って、会計を行っていく必要があります。
そのためには労支援事業の会計書類の作成が必要になってきます。
- 就労支援事業別事業活動明細書
- 就労支援事業製造原価明細書
- 就労支援事業販管費明細書
- 就労支援事業明細書
就労継続支援A型の指定要件や押さえるべきポイントについて
就A・A型の指定後の運用について
<お客様の声>
大阪市 就労継続支援AB多機能型 A株式会社 様
大阪市で、AB多機能型の申請をお願いしました。
採光換気の要件もその場で判断してくれ、申請までも早く、申請後の不安点も即答していただき、A型とB型の注意点を教えてくれ助かりました。
処遇改善加算も申請時に一緒に取得してもらいました。
大阪市 就労継続支援A型 NPO法人B 様
NPO法人の設立と指定をお願いしました。
複数の物件確認に同行してもらい、ありがとうございました。
実地指導にも立会してもらい助かりました。
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