就労継続支援A型の「利用者を雇用する」ために知るべき3つのポイント

就労継続支援A型の「利用者を雇用する」ために知るべき3つのポイント

「利用者を雇用する」こと

就労継続支援A型は、障がい福祉サービスで唯一利用者を雇用するサービスのため、利用者との雇用関係の書類作成する必要や労働法規を遵守する必要があります。

「利用者は雇用者でもある」ということは、従業員のカテゴリーについて「従業員」「利用者であり従業員」の2パターンに大別されます。

 

1 必要書類(利用者)

通常の障がい福祉サービスでは、利用者との雇用関連の書類は必要ありませんが、就労継続支援A型については、利用者と雇用契約を締結するということですので、

  • 労働条件通知書(雇用契約書)
  • 就業規則

の書類作成が法令上必要になりますし、雇用保険の加入も必要となります。

また場合によっては、36協定の締結や社会保険の加入義務が出てくる場合もあります。

 

2 賃 金

就労継続支援A型は、利用者に対して、各都道府県に定められる最低賃金以上を原則支払う必要があります。

➡ 令和5年全国最低賃金表(厚生労働省)

 

3 労働時間と利用時間

利用者を雇用するということは、労働法の適用を受けるということですので、週20時間以上の労働者は雇用保険の加入が必要になります。

厚生労働省資料

 

令和3年度改正により「1日の平均労働時間方式」から総合評価をもって実績とする「スコア方式」が導入されましたが、令和6年(2024年)度報酬改定で、これまでの労働時間、生産活動、多様な働き方、支援力向上、地域連携活動に加え、「経営改善計画」、「利用者の知識・能力向上」が追加され、合計200点のスコアとなりました。

※ スコアについてはこちらを参照

評 価 評価内容 判定スコア
①労働時間 1日の平均労働時間により評価 5点~90点で評価
②生産活動 過去3年の生産活動収支により評価 -20点~60点で評価
③多様な働き方 利用者が多様な働き方を実現できる制度の整備状況(就業規則等)により評価 0点~15点で評価
④支援力向上 職員の支援力向上の取組実績により評価 0点~15点で評価
⑤地域連携活動 地元企業と連携した高付加価値商品開発、施設外就労による働く場の確保などの連携した取組実績により評価 0点~10点で評価
⑥利用者の知識・能力向上 前年度において、就労継続支援A型事業所等が利用者の知識及び能力の向上に向けた支援を行い、当該支援の具体的な内容を記載した報告書を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表している。 0~10点で評価

経営改善計画は、指定権者から経営改善計画の提出を求められ、指定された期日までに提出されていない場合に-50点となります。

 

労働時間

スコアでは、1日の平均労働時間が長いほど賃金がかかることから、労働時間が長いほど評価されれます。

労働時間=労働時間の合計数÷利用者の合計数

1日の平均労働時間 スコア点数
7時間以上 90点
6時間以上7時間未満 80点
5時間以上6時間未満 65点
4時間30分以上5時間未満 55点
4時間以上4時間30分未満
40点
3時間以上4時間未満 30点
2時間以上3時間未満 20点
2時間未満 5点

※賃金が発生しない時間については労働時間に算入しない

①面談の時間は実際に労働しておらず、賃金が発生していないので算入しない。しかし労働扱いで賃金は発生していれば労働時間に算入。

②有給取得は賃金が発生しているので労働時間に算入。

③労働時間の延長や休職からの復職のために必要な知識能力向上の一時的支援を必要とするものは平均労働時間に算入しない。

④予見できない理由で短時間労働(1日の労働時間が4時間未満)になった場合、短時間労働となった日から90日を限度として、延べ労働時間・延べ利用者から除外することができる

予見できない理由

  • ア 進行性の難病
  • イ 利用開始時に病院に入院し退院直後に短時間労働となった場合
  • ウ 家族の介護を受けて利用していたが、家族の病気などで居宅介護等のサービスが必要のになった場合
  • エ 精神障がいなどで利用開始時には予期できない体調不良があり短時間労働となった場合

 

よくある質問

Q 利用者の副業やアルバイトは認められますか?

  • A 認められません。就労系サービスは一般就労が困難な方を対象としていることから、副業やアルバイトができる場合は、就労系サービスを受けることになじまないからです。また、副業やアルバイトを行っていた利用者のこれまでの算定分について過誤請求(返金)を求める行政もあります。

 

Q 利用時間内で、研修を行った場合、時給を支払う必要はありますか?

  • A 業務命令としての研修である場合は支払う必要があります。

 

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