令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(生活介護)

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(生活介護)

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(生活介護)

令和6年2月6日に「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第45回)」の会議があり、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要が発表されました。概要については、サービス単位ごとの内容でないため、ここでは生活介護についてまとめました。

→ 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(厚生労働省)

※ 現在はまだ案のため確定したものではないことをご了承ください。

 

基本報酬の見直し

これまでの障害支援区分ごとと利用者定員規模に加え、サービス提供時間別に細かな設定となります。

サービス提供時間については医療的経営が必要なものや盲ろう者など障害者特性等により利用時間が短時間にならざるを得ないものの配慮のため、

  • 現に要した時間ではなく、個別支援計画定めた標準的な「所要時間」で算定することを基本とするが、一定の配慮を設けます。
  • 前年度の平均利用者数の算出は、サービス提供時間を考慮し、5時間以上7時間も利用者は一日0.75人として計算し、5時間未満の利用者は一日0.5人と計算する。例えば、短時間の利用者を午前午後に受けることも可能。

基本報酬(定員11人から20人)

令和6年度以降の単価

所要時間 障害支援区分
区分6 区分5 区分4 区分3 区分2以下
3時間未満 517 386 268 239 218
3時間以上~4時間未満 646 483 335 300 273
4時間以上~5時間未満 774 578 401 358 327
5時間以上~6時間未満  904 676 469 419 381
6時間以上~7時間未満  1258 941 652 583 532
7時間以上~8時間未満  1291 966 669 598 545
8時間以上~9時間未満  1353 1027 730 660 607

所要時間9時間以上から延長支援加算を算定

 

令和3年度~令和5年度までの単価(定員20名以下)

障害支援区分 単価
区分6 1288
区分5 964
区分4 669
区分3 599
区分2以下 546

 

基本報酬(定員5人以下、6人から10人以下、11人から20人以下)の導入

これまでの報酬算定額は、定員20人以下が最も報酬単価が高かったのですが、定員5人以下、6人から10人以下、11人から20人以下等が設定されました。

定員5人以下は、重症心身障害児者対応の児童通所サービスと多機能型事業所にした場合等に適用。

令和6年度以降の単価(定員6人から10人以下)

所要時間 障害支援区分
区分6 区分5 区分4 区分3 区分2以下
3時間未満 649 485 336 301 274
3時間以上~4時間未満 812 607 420 376 343
4時間以上~5時間未満 974 727 504 452 411
5時間以上~6時間未満  1136 849 588 526 480
6時間以上~7時間未満  1580 1182 819 733 668
7時間以上~8時間未満  1622 1213 840 752 685
8時間以上~9時間未満  1684 1274 901 814 746

所要時間9時間以上から延長支援加算を算定

 

言語聴覚士が基準配置に

これまで生活介護介護の人員配置基準は、生活介護、看護職員、理学療法士、作業療法士のみでありましたが、令和6年から言語聴覚士も加わります。

 

生活介護介護の加算

人員配置体制加算

人員配置体制加算は既存の「1.7:1」、「2:1」、「2.5:1」に加え、「1.5:1」が新設されます。

定員20名の単価表

区分5、6、それに準ずる者 令和6年度の新単価(定員20名) 令和3年度~令和5年までの単価(定員20名)
人員配置体制加算(1.5:1)新設 60%以上 321単位(人員配置体制加算Ⅰ) なし
人員配置体制加算(1.7:1) 60%以上 265単位(人員配置体制加算Ⅱ) 265単位(人員配置体制加算Ⅰ)
人員配置体制加算(2:1) 50%以上 181単位(人員配置体制加算Ⅲ) 181単位(人員配置体制加算Ⅱ)
人員配置体制加算(2.5:1) なし 51単位(人員配置体制加算Ⅳ) 51単位( 人員配置体制加算Ⅲ)

 

延長支援加算

9時間以上の支援について延長支援加算を算定できます。

入浴支援加算の新設

医療的ケア、重症心身障害者に対して、入浴支援を行った場合に、入浴支援加算として80単位/日を算定。

 

常勤看護職員等配置加算の拡充

現行の加算が常勤看護職員等配置加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)ですが、利用定員に応じ、看護職員の数を乗じた単位を加算していきます。

令和6年度の新単価
利用定員が5人以下 32単位/日
利用定員が6人以上10人以下 30単位/日
利用定員が11人以上20人以下 28単位/日
利用定員が21人以上30人以下 24単位/日

利用定員31人以上は割愛

 

喀痰吸引等実施加算

医療的ケアが必要で喀痰吸引等が必要な利用者に対して、喀痰吸引等を実施の登録を行った事業所が、喀痰吸引等の実施のために必要な知識・技能を修得するための研修を修了した職員による喀痰吸引等を行った場合に、30単位/日を加算します。

 

リハビリテーション加算

リハビリテーション加算のリハビリテーション実施計画の作成期間を個別支援計画と同様の6ヶ月になります。

 

栄養スクリーニングと栄養改善の取組み

生活支援員や管理栄養士等の他職種と連携し、全ての利用者の栄養状態のスクリーニングを行い、栄養状態にリスクのある者に対して個別に栄養管理を行う等、栄養ケア・マネジメントを行った場合を評価するため以下の加算を新設します。

栄養スクリーニング加算【新設】 5単位/回

利用開始または利用中6月ごとに利用者の栄養状態について確認を行い、利用者の栄養状態に関する情報を相談支援専門員に提供した場合、1回につき所定単位数を加算する。

栄養改善加算【新設】 200単位/回

低栄養、過栄養状態にある利用者(そのおそれのある利用者含む)に対して、利用者の栄養状態の改善等を目的として、個別で行われる栄養食事相談等の栄養管理で、利用者の心身の状態の維持又は向上に資すると認められるもの(以下「栄養改善サービス」という。)を行った場合、3月以内の期間に限り1月に2回を限度として所定単位数を加算。

ただし、栄養改善サービスの開始から3月ごとの利用者の栄養状態の評価の結果、栄養状態が改善せず、栄養改善サービスを引き続き行うことが必要と認められる利用者については、引き続き算定することができる。

要件

  • 事業所の従業者や外部連携により管理栄養士を1名以上配置していること。
  • 利用者の栄養状態を利用開始時に把握し、管理栄養士等が共同して、利用者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した栄養ケア 計画を策定していること。
  • 利用者ごとの栄養ケア計画に従い、必要に応じて利用者の居宅に訪問し、管理栄養士等が栄養改善サービスを行っているとともに、利用者の栄養状態を定期的に記録していること。
  • 利用者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価していること。

 

福祉専門職員配置等加算

福祉専門職員配置等加算の(Ⅰ)または(Ⅱ)と(Ⅲ)の併給が可能となる。

 

重度障害者支援加算

 

重度障害者支援加算(Ⅱ) 重度障害者支援加算(Ⅲ)
(一) (二) (一) (二)
対象:区分6以上かつ行動関連項目10点以上の利用者

※生活介護支援員のうち20%を基礎研修了者を配置

※実践研修終了者を配置

対象:行動関連項目18点以上(新設)

※生活介護支援員のうち20%を基礎研修了者を配置

※実践研修終了者を配置

※中核的人材養成研修修了者を配置

対象:区分4以上かつ行動関連項目10点以上

※生活介護支援員のうち20%を基礎研修了者を配置

※実践研修終了者を配置

対象:行動関連項目18点以上(新設)

※生活介護支援員のうち20%を基礎研修了者を配置

※実践研修終了者を配置

※中核的人材養成研修修了者を配置

実践研修修了者が支援計画シートを作成し個別支援を行う

360単位

個別支援開始日から180日以内

500単位

中核的人材養成研修修了者が支援計画シートを作成し個別支援を行う個別支援(新設)

150単位

個別支援開始日から180日以内(新設)

200単位

実践研修修了者が支援計画シートを作成し個別支援を行う(新設)

180単位

個別支援開始日から180日以内(新設)

400単位

中核的人材養成研修修了者が支援計画シートを作成し個別支援を行う個別支援(新設)

150単位

個別支援開始日から180日以内(新設)

200単位

 

共通項目の改定事項

意思決定支援の推進

サービス担当者会議、個別支援計画の会議で、本人の心身の状況等によりやむを得ない場合を除き、利用者本人の参加を原則として会議に参加し本人の意向等を確認することとする。

 

本人の意向を踏まえた同性介助

解釈通知に「本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービス提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めるべき」旨明記。

 

虐待防止と身体拘束適正化の推進

虐待防止はこれまで減算規定はありませんでしたが、今回導入。身体拘束適正化は減算額が多くなりました。

令和6年度の新減算数 令和5年までの減算数
虐待防止 1% なし
身体拘束適正化 1% 5単位/日(利用者全員)

 

個別支援計画の共有

事業所が作成した個別支援計画を相談支援事業所と共有することになりました。

 

高次脳機能障害の利用者に対する加算

高次脳機能障害者支援体制加算の新設( 41単位/日)

高次脳機能障害を有する利用者が全体の利用者数の100分の30以上、かつ高次脳機能障害支援者養成研修を修了した従業者を事業所に50:1以上配置し、その旨を公表している場合に加算。

 

人員基準における両立支援への配慮

・ 「常勤」の計算・・・職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加え「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
・ 「常勤換算方法」・・職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。

 

障がい福祉現場の業務効率化を図るためのICTの活用

管理者の兼務

同一敷地内等に関わらず、同一の事業者によって設置される他の事業所等の管理者または従業員を兼務することが可能になります。

この場合管理者は責務を果たせる場合であり、事故発生時の緊急対応について、予め対応の流れを定め、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できる体制を整える必要があります。

管理者のテレワーク

管理上支障が生じない範囲においてテレワークにより管理業務を行うことが可能になります。

この場合、利用者及び従業員と管理者の間で適切に連絡を取れる体制を確保し、利用者の体調の急変、災害発生時等、緊急時の対応をあらかじめ定め、必要に応じて管理者が速やかに出勤できるようにしておく必要があります。

 

業務継続に向けた感染症や災害への対応力の取組(BCP)の強化

感染症または非常災害のいずれか、または両方の業務継続計画が作成されていない場合、基本報酬を減算(1%)となります(令和7年3月31日のまでの間「感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備」及び「非常災害に関する具体的計画」の策定を行っている場合には、減算を適用しない)

 

情報公表未報告の減算

障害福祉サービス等情報公表システムが未報告となっている事業所に対する情報公表未報告減算(5%)を新設します。

 

食事提供体制加算の見直し

これまでの要件に加えて以下の要件が加わりました。

○栄養士または栄養士が従業者として、または外部連携で献立を確認していること

○利用者ごとの摂取量を記録していること

○利用者ごとの体重やBMIおおむね六ヶ月に一回記録していること

 

強度行動障害を有する利用者への集中的支援加算の新設

状態が悪化した強度行動障害をする利用者へに対し、広域的支援人材が事業所等を集中的に訪問(情報通信機器を用いた地域からの助言指導も含む)し、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理を共に行い、環境調整を進めることを評価する。

イ 集中的支援加算(Ⅰ) 1000単位/回

強度行動障害を有する利用者の状態が悪化した場合に、広域的支援人材が事業所等を訪問し、集中的な支援を行った場合、3月以内の期間に限り1月に4回を限度として所定単位数を算定。

 

休職期間中に生活介護を利用するときの対応

一般就労中の障害者が休職期間中に復職支援して生活介護を利用する際の条件について改めて事務連絡で周知するとともに支給申請の際に当該障害者の雇用先企業や主治医の意見の提出を求めることとする。

 

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