平成30年度の障がい福祉事業、大幅改正で…
【令和6年度報酬改定から1年】障がい福祉事業所が取り組むべき3つの実践対策
【令和6年度報酬改定から1年】障がい福祉事業所が取り組むべき3つの実践対策
今回ご紹介するのは、弊所のコンサルティング支援によって大きな成果を得た障がい福祉事業所の事例です。
令和6年度報酬改定という大きな制度変更を経て、運営体制の見直しと適切な対応によって、事業の安定と収益向上を実現しました。
1. 事業の現状と課題
本事例のA事業所は、中規模の障がい福祉サービス事業者です。生活介護・放課後等デイサービスなど複数のサービスを運営しており、地域に根差した支援を行ってきました。
令和6年度の報酬改定から1年以上が経過した現在、改定対応が一段落したように見える中でも、実際には多くの事業所が次のような課題に直面しています。
- 加算要件の複雑化により加算取得をあきらめている
- 報酬請求ミスや返戻が続いている
- 職員が改定の本質を理解しきれていない
A事業所も例外ではなく、制度対応の遅れが加算の未取得や請求ミスに直結し、経営に影響を与えつつありました。
2. 課題の背景
令和6年度の障がい福祉サービス等報酬改定は、サービス提供の質向上が一層求められる内容でした。
特に影響が大きかったのは以下のポイントです。
- 加算要件の見直しと複雑化
- 個別支援計画と報酬区分の連動(生活介護、児童通所)
- 記録義務の厳格化
- 処遇改善加算の再編(新・加算体系)
- 委員会(研修・訓練含む)設置と開催頻度の複雑化
これらは単なる「加算要件の変更」ではなく、運営・支援内容そのものを見直す必要がある改定内容であり、事業所にとっては“体制全体の見直し”を迫るものでした。
現場では、
- 要件に合致しているか判断できない
- 書類が整備できていない
- 担当者が辞めて引き継ぎがうまくいかない
といった混乱も多く見られ、報酬改定への対応が形式的なものになってしまっているケースも散見されます。
3. 3つの改善策
弊所では、A事業所に対し、以下の3つの実践的な対策を段階的に導入しました。
① 改定内容の「影響整理」と優先順位付け
まずは、令和6年度の改定項目が自社のどのサービス・業務に関係するのかを洗い出し、影響度別に整理。
対応の遅れが致命的になり得る項目から優先的に取り組む体制を構築しました。
- 取得可能性が高い加算の選定
- 人員配置や記録体制の見直し
- 緊急度が高い書類の整備
この整理によって、着手すべき項目が明確になり、現場でも「何をすれば良いか」が共有されるようになりました。
② 業務フロー・記録様式の見直し
次に取り組んだのは、改定に対応した業務フローと帳票・記録様式のアップデートです。
- 支援記録と計画作成の流れを見直し
- 請求業務のミス削減のためのチェック体制強化
既存の運用に制度対応を無理に押し込むのではなく、「制度に沿った形へ自然に馴染ませる」設計を行い、現場の混乱を最小限に抑えました。
③ 現場職員への継続的研修と支援
改定の対応において「職員の理解度」は成功の鍵です。
A事業所では、弊所の支援を受けながら、以下のような研修と支援体制を整えました。
- 改定内容を実務ベースで学ぶ短時間研修
- 管理者・支援員・事務それぞれに応じた内容
- Q&A形式でのフォローアップと内部共有会
これにより、制度が「現場にとっても意味のあるもの」として理解され、形骸化せず運用に組み込まれるようになりました。
4. 成果
一連の取り組みによって、A事業所では1年間で以下のような成果が見られました。
- 未取得だった加算を4種類取得し、年間約400万円の増収を実現
- 請求ミス・返戻件数がゼロに
- 個別支援計画の質が向上し、支援の実効性が高まった
- 職員の制度理解が深まり、離職率が低下
加算収入の増加により、処遇改善加算の充実や設備投資にも資金を回すことが可能となり、利用者サービスの質向上にもつながっています。
5. まとめ – 成功の要因と今後の展望
A事業所が収益を改善し、安定した運営を実現できた要因は、令和6年度報酬改定を機に体制を大胆に見直し、戦略的に対応を進めたことにあります。
特に、制度の全体像を正しく捉え、影響の大きい項目から優先的に着手したこと、職員全体で情報を共有しながら着実に体制を整えた点が成功の鍵となりました。
このような取り組みは、他の障がい福祉事業所にとっても大いに参考になるものです。特に、
- 加算取得に不安がある
- 書類整備や記録管理が不十分
- 改定対応に手が回らない
といった事業所には、今回のA事業所のように、段階的に制度対応を進める戦略的アプローチが有効です。



