【令和3年度報酬改定】就労継続支援B型について

【令和3年度報酬改定】就労継続支援B型について

令和3年度 就労継続支援B型報酬改定

 

【1】サービス横断的事項

(1)感染症や災害への対応力の強化

① 感染症の発生及びまん延の防止等に関する取組の義務化

・ 全ての障害福祉サービス等事業者を対象に、運営基準において、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施を義務付ける。

 その際、3年間の経過措置(準備期間)を設けることとする。

 

② 業務継続に向けた計画等の策定や研修・訓練等の実施の義務化

全ての障害福祉サービス等事業者を対象に、運営基準において、業務継続に向けた計画等の策定や研修の実施、訓練の実施等を義務付ける。

 その際、3年間の経過措置(準備期間)を設けることとする。

 

③ 地域と連携した災害対策の推進

・ 非常災害対策が求められる通所系、施設系、居住系サービス事業者を対象に、運営基準において、訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めることを求めることとする。

 

④ 新型コロナウイルス感染症への対応に係る特例的な評価

・ 新型コロナウイルス感染症に対応するため、令和3年9月末までの間、通常の基本報酬に0.1%分の上乗せを行う。

  ≪新型コロナウイルス感染症への対応に係る特例的な評価≫

 全ての障害福祉サービス等事業所  基本報酬の合計単位数 × 0.1% 

 ※ 原則、令和3年9月サービス提供分までの措置とする。

 

 

【2】就労継続支援B型の固有の改定

(1)基本報酬の見直し

①「平均工賃月額」に応じた報酬体系における基本報酬及び基本報酬の区分の見直し

・ 高工賃を実現する事業所について、基本報酬において更に評価する。

・ 現行の7段階の基本報酬の区分について、8段階の区分とする。

 

≪基本報酬区分の見直し≫

[現 行](7.5:1 定員20名)

     平 均 工 賃 月 額   基本報酬/日
(一)平均工賃月額が4万5千円以上  649単位
(二)平均工賃月額が3万円以上4万5千円未満 624単位
(三)平均工賃月額が2万5千円以上3万円未満 612単位
(四)平均工賃月額が2万円以上2万5千円未満 600単位
(五)平均工賃月額が1万円以上2万円未満 589単位
(六)平均工賃月額が5千円以上1万円未満 574単位
(七)平均工賃月額が5千円未満 565単位

[見直し後]

平均工賃月額に応じた報酬体系 (7.5:1 定員20名)

平 均 工 賃 月 額 基本報酬/日
(一)平均工賃月額が4万5千円以上 702単位
(二)平均工賃月額が3万5千円以上4万5千円未満 672単位
(三)平均工賃月額が3万円以上3万5千円未満 657単位
(四)平均工賃月額が2万5千円以上3万円未満 643単位
(五)平均工賃月額が2万円以上2万5千円未満 631単位
(六)平均工賃月額が1万5千円以上2万円未満 611単位
(七)平均工賃月額が1万円以上1万5千円未満 590単位
(八)平均工賃月額が1万円未満 566単位

 

② 利用者の就労や生産活動等への参加等をもって一律に評価する報酬体系

・ 地域における多様な就労支援ニーズに対応する観点から、現行の「平均工賃月額」に応じて評価する報酬体系に加え、「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系を新たに設ける。

※ 基本報酬の報酬体系の選択は各年度の4月に行うことを基本とし、年度途中での変更を行うことはできない。 

定員 20名以下  基本報酬 556単位 (7.5:1)

 

下記加算が新設

 ≪地域協働加算【新設】≫ 30単位/日

各利用者に対して、地域住民その他の関係者と協働して支援(生産活動収入があるものに限る。)を行うとともに、その活動の内容についてインターネットの利用その他の方法により公表した場合に、当該支援を受けた利用者の数に応じ、1日につき所定単位数を加算する。

≪ピアサポート実施加算【新設】≫ 100単位/月

各利用者に対し、一定の支援体制(※)のもと、就労や生産活動等への参加等に係るピアサポートを実施した場合に、当該支援を受けた利用者の数に応じ、各月単位で所定単位数を加算する。

※ 地域生活支援事業として行われる「障害者ピアサポート研修(基礎研修及び専門研修)」を修了した障害者(障害者であったと都道府県、指定都市又は中核市が認める者を  含む。)と管理者等を配置し、これらの者により各事業所の従業員に対し、障害者に対する配慮等に関する研修が年1回以上行われていること。

* 令和6年3月31日までの間は、都道府県、指定都市又は中核市が上記研修に準ずると認める研修でも可とするなどの経過措置を設ける。

 

 ※上記①「平均工賃月額」に応じた報酬体系、②「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系の一方を事業所ごとに選択することとする選択することになる。 

 

(2) 実績の算出 ≪令和3年度の報酬算定に係る実績の算出≫ 

令和3年度、次のいずれか2カ年度間の実績で評価

次のいずれかの年度の実績で評価する

(Ⅰ)平成30年度

(Ⅱ)令和元年度

(Ⅲ)令和2年度

 

(3) 一般就労への移行の促進

・ 「平均工賃月額」に応じた報酬体系においては、障害者本人の希望と能力・適性に応じて一般就労への移行を促進していく観点から、就労移行支援体制加算を充実する。

・ 就労継続支援から就労移行支援への移行について、新たに一定の評価をする加算(就労移行連携加算)を創設する。

・ 就労移行支援と同様に、就労継続支援についても、一般就労への移行の更なる促進を見込み、作業療法士を福祉専門職員配置等加算における有資格者として新たに評価する。

≪就労移行連携加算【新設】≫ 1,000単位

就労継続支援B型を受けた後に就労移行支援の支給決定を受けた者がいる場合において、当該者に対して、当該支給決定に係る申請の日までに、就労移行支援事業者との連絡調整その他の相談援助を行うとともに、当該申請を行うに当たり、就労継続支援B型における支援の状況等の情報を文書により相談支援事業者に対して提供している場合に、1回に限り、所定単位数を加算する。

 

≪福祉専門職員配置等加算の要件の見直し≫

[現 行]

  • イ 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) 15単位/日

※ 職業指導員等として常勤で配置されている従業者のうち社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師である従業者の割合が100分の35以上ある場合に加算する。

  • ロ 福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) 10単位/日

※ 職業指導員等として常勤で配置されている従業者のうち社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師である従業者の割合が100分の25以上ある場合に加算する。

 

[見直し後]

  • イ 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) 15単位/日

※ 職業指導員等として常勤で配置されている従業者のうち社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士又は公認心理師である従業者の割合が100分の35以上ある場合に加算する。

  • ロ 福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) 10単位/日

※ 職業指導員等として常勤で配置されている従業者のうち社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士又は公認心理師である従業者の割合が100分の25以上ある場合に加算する。

 

(4)  在宅でのサービス利用の要件の見直し(就労移行支援及び就労継続支援)

 ・ 在宅でのサービス利用について、令和2年度に限って新型コロナウイルス感染症への対応として臨時的に要件緩和した取扱いを 令和3年度以降は常時の取扱いとする。 

 ≪在宅でのサービス利用要件≫重要

[現 行]

利用者要件)

  • 通所利用が困難で、在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した利用者。

(事業所要件)

  • ア  在宅利用者が行う作業活動、訓練等のメニューが確保されていること。
  • イ  1日2回の連絡、助言又は進捗状況の確認、日報作成を行うこと。作業 活動、訓練等の内容等に応じ、1日2回を超えた対応を行うこと。
  • ウ  緊急時の対応ができること。
  • エ  疑義照会等に対し、随時、訪問や連絡等による必要な支援が提供できる 体制を確保すること。
  • オ  事業所職員の訪問又は利用者の通所により、評価等を1週間につき1 回は行うこと。
  • カ  原則として月の利用日数のうち1日は事業所に通所し、事業所内において訓練目標に対する達成度の評価等を行うこと
  • キ  オが通所により行われ、あわせてカの評価等も行われた場合、カによる 通所に置き換えて差し支えない。

 

[見直し後]

(利用者要件)

  • 在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用に よる支援効果が認められると市町村が判断した利用者。

(事業所要件)

  • ア~エ  現行と同じ
  • オ  事業所職員による訪問、利用者の通所又は電話・パソコン等のICT機 器の活用により、評価等を1週間につき1回は行うこと。
  • カ  原則として月の利用日数のうち1日は事業所職員による訪問又は利用者による通所により、事業所内において訓練目標に対する達成度の評価等を行うこと。
  • キ  現行と同じ

(その他)

  • 在宅と通所による支援を組み合わせることも可能。

 

(6) 施設外就労に係る加算見直し(就労移行支援及び就労継続支援)

・ 施設外就労に係る加算(※)を廃止・再編

 ・ 施設外就労については、一般就労への移行や工賃・賃金の向上を図るため 有効であるとして促進してきたことから、引き続き実施していく。

 

【3】その他、就労支援に関係のある改定

(1)医療連携体制加算の見直し

・ 医療連携体制加算については、医療機関等との連携により、当該医療機関等から看護職員を訪問させ、利用者に看護を提供した場合や認定特定行為業務従事者に対し喀痰吸引等に係る指導を行った場合に算定できるところであるが、障害児者に真に必要な医療や看護を検討して適切に提供しているとは言い難い事例が散見されていることから、算定要件や報酬単価について、必要な見直しを行う。

① 医療・看護について、医療的ケアを要するなどの看護職員の手間の違いに応じて評価を行う。

② 医師からの指示は、原則、日頃から利用者を診察している主治医から個別に受けるものとすることを明確化する。

  

(2)障害者虐待防止

・ 障害者虐待防止の更なる推進のため、運営基準に以下の内容を盛り込む。

   まずは令和3年度から努力義務化した後、1年間の準備期間を設け、令和4年度から義務化する。

・ 虐待防止委員会(※)の設置等の義務化

・ 従業者への研修の実施の義務化

・ 虐待の防止等のための責任者の設置の義務化

(※)虐待防止委員会に求められる役割は、虐待の未然防止、虐待事案、発生時の検証や再発防止策の検討等

[現 行]

  • ① 従業者への研修実施(努力義務)
  • ② 虐待の防止等のための責任者の設置(努力義務)

[見直し後]

  • ① 従業者への研修実施(義務化)
  • ② 虐待防止のための対策を検討する委員会として虐待防止委員会を設置するとともに、委員会での検討結果を従業者に周知徹底(義務化)
  • ③ 虐待の防止等のための責任者の設置(義務化)

 

(3)身体拘束等の適正化

身体拘束等の適正化の更なる推進のため、運営基準において施設・事業所が取り組むべき事項を追加するとともに、減算要件の追加を行う。

その際、施設・事業所が対応を行うためには一定の時間を要すると見込まれるため、 まずは令和3年度から努力義務化した後、1年間の準備期間を設け、令和4年度から義化化

・ 減算の要件追加については令和5年4月から適用することとする。なお、虐待防止の取組で身体拘束等の適正化について取り扱う場合には、身体拘束等の適正化に取り組んでいるものと扱う。

 

(4)人員基準における両立支援への配慮等

仕事と育児や介護との両立を進めるため、「常勤」要件及び「常勤換算」要件を一部緩和する見直し

[現 行]

【常勤】

  •  勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していること。

※ ただし、育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用している職員については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことが可能。

【常勤換算方式】

  •  事業所の従業者の勤務延べ時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法。

[見直し後]

  • ア 「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、介護の短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
  • イ 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。
  • ウ  人員基準や報酬算定において「常勤」での配置が求められる職員が、産前産後休業や育児・介護休業等を取得した場合に、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算すること で、人員基準を満たすことを認める。
  • エ  ウの場合において、常勤職員の割合を要件とする福祉専門職員配置等加算等の加算について、産前産後休業や育児・介護休業等を取得した当該職員についても常勤職員の割合に含めることを認める。

 

全ての障害福祉サービス等事業者を対象に、運営基準において、適切な職場環境維持(ハラスメント対策)を求める

≪運営基準【新設】≫

職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。

 

(5)障害福祉現場の業務効率化を図るためのICTの活用【全サービス】

・下記の運営基準や報酬算定上必要となる委員会等、身体的接触を伴わない又は必ずしも対面で提供する必要のない支援について、テレビ電話装置等を用いた支援が可能であることを明確化する。

【委員会・会議等】

≪感染症・食中毒の予防のための対策検討委員会≫

≪身体拘束等の適正化のための対策検討委員会≫

≪虐待防止のための対策検討委員会≫

≪個別支援計画作成等に係る担当者等会議≫

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