【成功事例】重心型導入で放課後デイの売上が改善した取組み

【成功事例】重心型導入で放課後デイの売上が改善した取組み

【成功事例】重心型導入で放課後デイサービスが売上改善した取組み

1. 事業の現状と課題

現在、A法人では定員10名の放課後等デイサービス・児童発達支援を運営しており、主に重度の障がい児や医療的ケアが必要な児童が利用しています。しかし、毎日定員に達することがなく、売上が伸び悩むという課題が発生しています。定員不足による稼働率の低さが続いているため、収益性が不安定な状況にあります。この状況に対し、持続的な改善策が求められています。

事業所の運営形態: 放課後等デイサービス・児童発達支援の多機能型事業所
営業日: 週5日営業
定員: 10名

 

2. 課題の背景

この課題の背景には、いくつかの要因があります。

2.1 現在のサービス形態の限界

通常の放課後等デイサービスでは、医療的ケア区分は比較的高く設定されていますが、後述の報酬改定の影響で医療的ケア区分も時間区分の報酬体系となっています。また、医療ケアスコアは3区分(①3点以上、②16点以上、③32点以上)に分かれており、③が最も単価高くなります。①②の利用者が多い場合は、利用者が少ないと通常のデイサービスの運営では十分な収益を確保するのが難しい場合があります。

2.2 人員配置にかかるコストの負担

通常型の放課後等デイサービスでは、直接支援員の常勤配置が義務付けられています。これにより、スタッフの確保や雇用コストが高くなり、事業所の経営に大きな負担がかかります。特に、医療的ケア区分の利用者を受け入れているため、看護師の配置も求められコストが増加傾向にあります。

2.3 令和6年4月の報酬改定の影響

令和6年4月の報酬改定では、放課後等デイサービス、児童発達支援の提供時間帯によって報酬が変動する時間区分が導入されました。これにより事業所の収益に影響が出始めてきました。

 

3. 改善策

これらの課題に対応するため、「重度心身障害型(重心型)」の放課後等デイサービス、児童発達支援に変更することを提案。重心型デイサービスへの移行には、以下のような具体的な改善点があります。

3.1 高単価設定による収益改善

重心型の放課後等デイサービス、児童発達支援では、重度の心身障害を持つ子どもたちに対して、より高度な支援や医療的ケアが提供されるため、サービス単価が高く設定され(医療ケアスコアは3区分(①3点以上、②16点以上、③32点以上))、②が多いA事業所では現在の利用者数のままでも収益性の向上が見込めます。

特に、重度障がい児や医療的ケアが必要な利用者が既に多くいる現状を考慮すると、重心型への移行は自然な流れとなり、利用者の大幅な減少も予想されないため、安定した収益を確保することが可能です。

3.2 人員配置要件の緩和

重心型の放課後等デイサービス、児童発達支援では、通常の放課後等デイサービスで求められる直接支援員の常勤配置が義務ではありません。また、看護職員が必須ですが、すでに事業所には看護師が常勤で在籍しているため、重心型への移行に際しては新たな人材を追加で雇う必要がありません

3.3 令和6年4月の報酬改定の影響を回避

重心型デイサービスは、令和6年4月の報酬改定における時間区分の影響を受けないことが大きなメリットです。この改定では、通常の放課後等デイサービスが提供時間によって報酬が変動するリスクがありますが、重心型の場合は報酬が一律に設定されています。そのため、利用時間や延長支援による収益の変動がなく、安定した収入を確保することができます。このように、収益構造が安定していることで、将来的な経営リスクを減らし、長期的な事業計画を立てやすくなります。

4. 成果 – 収益の改善

重心型放課後等デイサービス、児童発達支援への移行によって、以下の成果が期待されます。

4.1 売上向上と収益の安定化

重心型に移行した結果、高単価設定により、現状の利用者数でも売上が大きく増加しました。たとえ定員に達しない日があっても、単価が高いため収益を確保しやすく、安定した収入基盤が形成されました。

4.2 人件費削減と運営効率の向上

直接支援員の常勤配置が不要になったことで、既存の看護師などのスタッフの役割を拡大し、新たな人材を雇用する必要がなくなりました。その結果、人件費の削減が実現し、さらに、スタッフの負担が軽減され、サービスの質を維持しながらも効率的な運営体制を確立できました。

4.3 報酬改定によるリスクの回避

時間区分に左右されない報酬体系を持つ重心型デイサービスへの移行により、令和6年4月の報酬改定後も安定した収入を確保できました。この安定性により、事業計画が立てやすくなり、将来的なリスクに対する対策も講じやすくなっています。

4.4 事業の長期的な成長と安定化

重心型デイサービスへの移行は、短期的な売上増加にとどまらず、事業所全体の長期的な成長と安定性をもたらしました。高単価による収益改善、柔軟な人員配置、報酬改定の影響回避といった複数の要素が組み合わさることで、持続的で安定した事業運営が実現しています。

5. 重心型デイサービス導入の際の注意点

重心型デイサービスへの移行には、以下の注意点があります。

①特に、重度の障がいを持つ子どもたちへの対応には、看護職員などによる高度な医療的ケアが不可欠です。これに伴い、事業所ではスタッフが十分な研修を受けることが求められ、利用者に安全で質の高いサービスを提供するためのスキルアップが重要です。また、事業所の設備も整備し、利用者が安心して過ごせる環境づくりが必要です。

②さらに、通常の放課後等デイサービスとは異なり、重心型には配置基準や独自の加算、請求の仕組みなどに違いがあります。

これらの点について事前に十分な理解と準備が求められ、スムーズな移行ができるよう体制を整えることが重要です。

6. 弊所によくある質問と対策

1. Q:どのような人員配置が必要ですか?

A:重心型放課後等デイサービスは、通常のデイサービスとは異なり、直接支援員の常勤要件がありません。したがって、看護師や機能訓練担当職員(理学療法士、作業療法士など)の配置が必要です。また、利用者の重度障がいに対応した設備や人員が確保されていることが求められます。

2. Q:医療的ケアが必要な利用者が多いのですが、重心型に変更することでどういった改善が期待できますか?

A:重心型においては、医療的ケアの必要な利用者に対応できる看護師が支援員として配置できるため、通常のデイサービスよりも柔軟かつ効率的なケア体制が構築可能です。すでに看護師が常勤している場合、そのままの配置で問題なく運営が可能になります。

3. Q:新規利用者の獲得について

A:重心型デイサービスに移行することで、重度の障がい児や医療的ケアが必要な子どもたちを対象とする施設としての専門性が高まり、他の事業所との差別化が図れます。さらに、地域の病院や療育センターと連携し、医療的ケアが必要な子どもたちの紹介を受けやすい体制を整えることで、新規利用者の獲得を促進します。

4. Q:重心型への変更申請はどう進めたら良いですか?

A:重心型への変更申請には、指定権者への変更届が必要です。弊所では、申請に必要な書類の作成や提出手続き、関係機関との調整を一括してサポートします。また、現地でのヒアリングや書類の準備状況を事前に確認することで、スムーズな申請プロセスを実現します。

 

まとめ

A事業所が直面する課題を解決するためには、重心型デイサービスへの移行が有効な改善策となりました。

重度心身障害型への移行は、事業所の最適化と収益向上に大きく貢献しました。高単価設定、柔軟な人員配置、報酬改定の影響を受けにくいといった3つアプローチが鍵となりました。

この成功事例は、他の放課後等デイサービス、児童発達支援事業所にとっても参考になるポイントがあると思います。

適切なアドバイスと具体的なサポートを受けることで、効果的な運営方法を導入し、経営の安定と収益向上を図りましょう

 

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