比較してみました① 障がい福祉事業の指定…
【成功事例】統合により収益改善した放課後デイの取組み
【成功事例】2事業所を統合し、収益を大幅改善した放課後等デイサービスの取り組み
今回の事例は、弊所のコンサルティングによって成果を上げたクライアントの事例の一つです。提供した支援とアドバイスが、クライアントの目標達成に寄与した結果となっています。
1. 事業の現状と課題
放課後等デイサービス、児童発達支援を運営するA法人では、現在、2つの事業所を運営し、週6日体制で営業を行っています。予約は常に埋まっており、一見、順調に見える経営状況ですが、実際には課題があります。それは、利用者の特性による「欠席率の高さ」です。
A事業所の利用者は、障がい特性により体調の変動が大きい場合が多く、予約が埋まっていても当日欠席が頻発しています。このため、実際に来所する人数が予想を下回り、結果として売上目標を達成できていない状態が続いています。
2. 課題の背景 – 欠席率の高さが収益に与える影響
まず、A事業所が抱える問題の背景を見ていきましょう。
放課後等デイサービス、児童発達支援の利用者は、障害や体調の問題から、急な欠席が多くなりがちです。これは、サービスを提供する側にとって収益の不安定さを引き起こし、事業運営に大きな影響を及ぼします。
例えば、事前に予約が定員いっぱいであっても、当日に欠席が生じると売上がその分減少してしまいます。これが繰り返されることで、A事業所では月間売上が目標に達せず、収益が不安定な状態が続いていました。したがって、事業所の収益を安定させ、経営を改善するためには、欠席率を減少させ、稼働率を向上させる取り組みが必要不可欠です。
こうした状況に直面し、 弊所では3つの提案を行い、A事業所は運営体制の抜本的な見直しを行うことを決断しました。 今回は、収益を大幅に改善した具体的な取り組みを3つご紹介します。
3. 改善策
改善策1 事業所を1事業所に集約する
最初に取り組んだ改善策は、現在の2事業所を1事業所に集約(「多機能型の特例によらない」)事業所とすることです。
一般的に、複数の事業所を運営する場合、家賃や人件費、光熱費といった固定費が複数の拠点分発生します。これらのコストが収益を圧迫している状況でした。
集約のメリット
1つの事業所に統合することで、以下のようなメリットが得られました。
- 管理コストの削減: 2つの事業所で発生していた家賃、光熱費などの固定費が大幅に削減され、効率的なコスト管理ができるようになりました。
- スタッフのリソース集約: スタッフが1つの事業所に集約されることで、利用者対応においても質が向上しました。スタッフの配置が効率的に行えるため、急な欠席や不測の事態にも柔軟に対応できる体制が整いました。
集約に伴う課題と解決策
しかし、事業所を1つに集約することにより、新しい課題も発生しました。例えば、新たな環境に適応するためのサポートが必要となります。
これに対し、A事業所は事前に保護者向けの説明会を開催し、疑問点や不安を解消するサポート体制を整備しました。段階的な移行を行うことで、利用者が新しい環境に慣れる時間を確保し、移行時のトラブルを最小限に抑えることができました。
改善策2 送迎サービスの導入
次に取り組んだのが、送迎サービスの導入です。A事業所ではこれまで送迎サービスを行っていませんでしたが、これが利用者の欠席を増加させる一因となっていました。特に、保護者が仕事の都合などで送迎が難しい場合、利用を断念せざるを得ないケースが多かったのです。
送迎サービス導入の効果
送迎サービスの導入により、以下のような効果が見られました。
- 利用者の安定した来所: 送迎を行うことで、欠席率が大幅に減少し、事業所の利用率が向上しました。特に、保護者が送迎の負担を感じなくなったことで、安心してサービスを利用できる環境が整いました。
- 新規利用者の獲得: 送迎エリアを広げることで、アクセスが難しかったエリアからも新規利用者が増加し、結果として利用者数が増加しました。
- サービスの差別化: 送迎サービスを提供することで、他の事業所との差別化が図れ、選ばれる理由が明確になりました。利用者の利便性が向上し、口コミなどによる集客効果も期待できました。
送迎体制の整備
送迎サービスを効果的に運営するため、車両や運転手の確保、そして効率的なルート設定に注力しました。また、利用者の安全を確保するため、運転手には事前に研修を行い、送迎マニュアルを整備しました。
これにより、運行の安全性と効率性が確保され、保護者からも高い評価を得ることができました。
改善策3 – 営業日の見直し
最後に実施したのが、営業日の見直しです。A事業所は現在、週6日営業を行っていましたが、欠席率が高い日があるため、一旦週5日営業に変更しました。これにより、利用者が来所する日が集中し、稼働率が高まることを期待しました。
週5日営業のメリット
営業日を減らすことで、以下の効果が得られました。
- コスト削減: 1日分の営業コスト(人件費、光熱費など)を削減することで、運営のコストパフォーマンスが向上しました。
- スタッフの疲労軽減: 週5日営業にすることで、スタッフの疲労が軽減され、サービスの質向上にもつながりました。休息を十分に取ることで、スタッフが高いモチベーションを持って働ける環境が整いました。
- 利用者の集中化: 営業日を減らすことで、利用者が来所する日が集中し、稼働率が高まりました。この結果、安定した収益確保が可能となりました。
4. 成果 – 収益の改善
これら3つの改善策(事業所の集約、送迎サービスの導入、営業日の見直し)を総合的に実施した結果、A法人は以下の成果を達成しました。
- 収益の改善: 欠席率が減少し、営業日数の最適化により効率的な運営が実現しました。その結果、月間収益が増加し、経営が安定化しました。
- 利用者満足度の向上: 送迎サービス導入によって、保護者からの満足度が向上し、新たな利用者の獲得にもつながりました。利用者満足度調査では、以前と比べて10ポイント以上の向上が見られました。
- スタッフのモチベーションアップ: 営業日数の調整により、スタッフの負担が減少し、離職率も低下しました。新たな体制下での業務に対する意欲が高まり、サービスの質向上にもつながりました。
5 弊所によるよくある質問と対策
1. Q: 事業所を統合したいのですが、どのような手続きが必要ですか?
A: 事業所統合にあたっては、事業所の所在地変更や利用定員の見直しの変更届、廃止手続きなど、複数の手続きが必要です。
2. Q: 送迎サービスを始めたいのですが、許認可の手続きが不安です。
A: 送迎サービスを始める際には、指定権者への変更届けが必要です。そのためには、運転手も確保も必要です。近年は送迎車両への利用児の置き去り対策も止められます。
3. Q: 営業日数を変更したいのですが、スタッフや利用者への影響が心配です。
A: 営業日数の変更は、スタッフの勤務体制や利用者のスケジュールに大きな影響を与えます。そのため、事前にスタッフと利用者(およびその保護者)との十分なコミュニケーションが必要です。
4. Q: 利用者が減少し、収益が低下しています。どのようにして利用者を増やすべきでしょうか?
A: 利用者を増やすためには、サービスの差別化や地域への積極的な広報活動が効果的です。
- 対策: まず、現行のサービス内容を見直し、追加できる新しいサービスや差別化ポイントを検討します。次に、地域向けの広報計画(チラシ、SNS活用、自治体との連携イベントなど)を策定し、効果的なプロモーションを実施します。
6. まとめ – 成功の要因と今後の展望
A事業所が収益を大幅に改善し、安定した運営を実現できた要因は、事業所全体の運営体制を大胆に見直し、効果的な対策を実施した点にあります。特に、「集約」「送迎」「営業日の最適化」という3つのアプローチが成功の鍵となりました。
これらの成功事例は、他の放課後等デイサービス、児童発達支援事業所にとっても参考になるポイントが多く、特に欠席率の高さや収益確保に課題を抱える事業所に有効です。
但し、今回のケースでは、 事業所廃止と定員変更等の手続きのロードマップを作成し順序よく手続きを行うことが重要 になります。
適切なアドバイスと具体的なサポートを受けることで、効果的な運営方法を導入し、経営の安定と収益向上を図りましょう。
経営に課題を抱えている方は、ぜひ弊所にご依頼いただき、運営体制の改善を検討し、運営体制の改善を一緒に取り組んでいきましょう。
ご依頼は、以下の連絡先までどうぞ。